罪刑法定主義の感覚に欠ける

メンヘラを救う方法に関する一考察や、法律に関する話を中心に、様々な話題を提供します。

平成30年司法試験短答式試験(刑法)解答速報(私見)

随時加筆していきます。

※第20問の解答を修正しました。申し訳ありません。

第1問 3,5

第2問 5
アが×であることにつき、井田良『講義刑法学・各論』(有斐閣、2016)128頁。同頁は、判例・通説は、「自由の拘束を意識していない被害者との関係でも逮捕・監禁罪は成立すると解している。」としている。

イが×であることにつき、西田典之『刑法各論』(弘文堂、第6版、2012)77頁参照。未成年者略取罪の客体はあくまで「未成年者」である。

ウが×であることにつき、最決平成21年7月13日刑集63巻6号590頁。

第3問 2

Aは旧過失論、Bは新過失論の立場と考えられます。「旧過失論の見地からは、信頼の原則は結果に対する予見可能性のない場合を類型化したもの」である(松原芳博『刑法総論』(日本評論社、第2版、2017)299頁)ため、①はア。

旧過失論に対する批判として、「処罰範囲が広くなり過ぎる」ことが挙げられることにつき、前田雅英『刑法総論講義』(第6版、東京大学出版会、2015)205頁。したがって、②はエ。

新過失論に対する批判として、山口厚『刑法総論』(有斐閣、第3版、2016)244頁はウを挙げている。したがって、③はウ。

 

第4問 4 (西田・前掲347頁)

第5問 2,2,1,2,2

アが×であることにつき、最決昭和51年3月23日刑集30巻2号229頁。判例は、法秩序全体の見地から許容されるべきものであることが必要としているため、「成立し得ない」ということはない。

イが×であることにつき、いわゆる加持祈祷事件。(最判昭和38年5月15日刑集17巻4号302頁)

ウが○であることにつき、最判昭和50年4月3日刑集29巻4号132頁。

エが×であることにつき、最判昭和30年11月11日刑集9巻12号2438頁

オが×であることにつき、いわゆる西山事件。(最決昭和53年5月31日刑集32巻3号457頁)

第6問 2

アが○であることにつき、最決昭和33年9月30日刑集12巻13号3180頁。

イが×であることにつき、197条2項。事前収賄罪。

ウが×であることにつき、最判昭和28年10月27日刑集7巻10号1971頁。

エが○であることにつき、井田・前掲590頁。

オが×であることにつき、最決昭和58年3月25日刑集37巻2号170頁。

第7問 3

第8問 4

イが×であることにつき、最決平成21年6月29日刑集63巻5号461頁参照。

オが×であることにつき、西田・前掲143頁参照。

なお、理論的な説明ではないですが、アとオの肢は、平成25年司法試験でもほぼ同じ問題が出題されており、司法試験委員会発表の正解によれば、いずれも×です。したがって、4が正解であることは間違いないといって良いでしょう。

第9問 2,4

1は26条1号、2は57条、14条2項、ウは28条、エは54条1項、オは42条2項

第10問 2,3

第11問 4

心神喪失心神耗弱と認められるためには、精神の障害が必要であると解されている。山口厚『刑法総論』(有斐閣、第3版、2016)272頁。

第12問 5

5が×であることにつき、最決昭和42年12月21日刑集21巻10号1453頁。

第13問 3,4

第14問 4

加重逃走罪の着手時期は、「逃走を目的として」「その手段としての暴行・脅迫が開始されたこと」であることにつき、東京高判昭和54年4月24日刑月11巻4号303頁。

第15問 2

第16問 2,1,1,2,2

アが×であることにつき、115条。

イが○であることにつき、前掲・西田299頁。

ウが○であることにつき、前掲・西田304頁。生じた公共の危険が1個である場合、1個の現住建造物等放火罪が成立する。

エが×であることにつき、最決平成15年4月14日刑集57巻4号445頁

オが×であることにつき、前掲・井田378頁。

第17問 5

最決平成13年10月25日刑集55巻6号519頁をモデルにした事案であることは明らかで、同事案において、判例は、背後者の母親について強盗罪の共同正犯の成立を肯定しています。

その上で、判例最判昭和24年5月28日刑集3巻6号873頁)は、いわゆる機会説を採っていると解されるため、「Aが激しく振り払った行為」が強盗の機会になされた暴行であることは明らかである以上、本件では強盗致傷罪の共同正犯が成立することになります。

第18問 1

1が○であることにつき、大判昭和12年3月17日刑集16巻365頁。

第19問 2

第20問 1,1,2,2,2

アについて。甲とAは売買契約を結んでおり、かつ、Aが既に代金全額を支払っていることから、刑法上保護に値する所有権が存在するといえること等から、本件土地は「自己の占有する他人の物」といえ、本件行為に横領罪が成立します。そして、実弟のAとは別居していることから、244条1項の適用はなく、同条2項が適用されます。したがってアは○です。

イが○であることにつき、最大判平成15年4月23日刑集57巻4号467頁。

ウが×であることにつき、最決平成24年10月25日刑集66巻10号990頁。

エが×であることにつき、大判昭和3年10月29日刑集7巻709頁。

オが×であることにつき、最判昭和31年6月26日刑集10巻6号874頁。