罪刑法定主義の感覚に欠ける

メンヘラを救う方法に関する一考察や、法律に関する話を中心に、様々な話題を提供します。

法律事務所への就職と学歴

1 はじめに

 法曹界に身を置く私が,単なる実体験をベースに「法律事務所への就職と学歴」というテーマでつらつらと感じていることを書いてみようと思う。

 ただし,私は「匿名」でブログを行うことに意義を感じているため,私自身が法曹界へ身を置く者であることの証明をするつもりはありませんし,何期であるかも申しません。ですから,「匿名を良いことに無知な人がテキトーなことほざいているわ」くらいの気持ちで読んでいただけると嬉しいです。

 

2 いわゆる五大法律事務所への就職

 就職先として一定の人気があると思われる五大法律事務所への就職において学歴は重要であるか。(自分で調べるのは面倒くさいので)ジュリナビさんの「2019年5大法律事務所のパートナートラックー3ー」という記事を引用すると,

https://www.jurinavi.com/market/jimusho/kenkyuu/?id=230

 少なくともパートナーレベルではやはり高学歴が多いことが分かる。五大法律事務所の就職において学歴が優位に働くのは私の体感的にも感じるところではあるし,実際ある程度学歴は尊重されているのだろう。もっとも,これも実際に調べていないので間違っている可能性も大いにあるが,西村あさひ法律事務所とTMI法律事務所の新人弁護士は,いわゆる学部がマーチレベルの人も一定数いる(相対的に他の事務所より多い)と私は認識している。繰り返しますが,間違っているかもしれません。

 

3 その他の事務所への就職

 しかし,いくら五大法律事務所が一定程度人気で,採用数が非常に多いとしても,過半数の人たちには関係のないことであろう。以下では一般的な「就活」について述べることとする。

 さて,以下は全くの私見であり,客観的データに基づくものでもないことを繰り返し付言しておく。

 結論を述べれば,正直,この業界の就職において学歴は結構大事だと私は思っている。確かに,近時は「就職難」は解決しているように見え,修習が終わる段階で「就職先がない」という人は多分ほとんどいないように思われる。そういう意味では,学歴が「結構大事」というのは少々言いすぎな気もする。もっとも,私の修習時の体験に照らして言えば,就職先が決まるのに時間がかかっていた人たちが軒並み,この業界の中では「珍しい」学歴の人が多かった,というのが私の正直な感想である。

 今は五大法律事務所が採用をどんどん拡大させていることもあり,大手企業法務系の事務所(及びいわゆる「新興系」の大手事務所)の内定を持って修習に臨む人は多い。
 他方,修習中に就職活動をする人たちのターゲットは,五大法律事務所を中心とした「数多く採用をする事務所」以外の中小規模の事務所ということになり,このあたりの事務所は採用数が少ない(そもそも毎年必ず採用するわけではない)ことから,就職活動の競争はやはり激しい。(五大法律事務所が,少なくとも学部3年で予備試験に合格していれば大抵オファーを出してくれることとは対照的である。学部4年予備試験合格だとオファーがもらえない人もいる…はず。)

 その上,この業界は高学歴の人が多い。特に今,採用担当となっている弁護士の多くはいわゆる「旧司法試験組」であり,司法試験が今よりも狭き門だったこともあり,尚更高学歴の人が多い(と思う)。そのような採用担当は,こう考えてしまうのではないだろうか。

 採用担当である自分も,他の事務所のメンバーも高学歴。

 修習生の多くも高学歴だから,来年になればもっと優秀な人が応募してくれるかもしれない。

 別に今年,必ず新人を取らないといけないというわけでもないし・・

 まぁ別にこの人に内定出さなくてもいいか・・

 と思われやすい状況下で,珍しい学歴の者が内定を勝ち取るのは難易度が高いのではないだろうか。溢れ出る人間的魅力であったり,司法試験が好成績であることだったり,その他諸々があって「この人を取りたい!」と思われないと,少なくとも簡単には就職できないように思われる。

 なお,これは全部私の客観的根拠に基づかない想像である。

 

4 「学歴」より大事なもの

 ここまで学歴を中心に述べてきたが,実際には,就職活動においては学歴より大切な要素があるとも私は思っている。

 実際,高学歴でも就職に困っている人はいた。

 結局は広い意味での「コミュニケーション能力」が大切なのだろう。修習生は司法試験に合格している以上,ある程度の優秀さがあることは就職活動において前提となっている。ゆえに,学歴が高いことが特段有利というわけでもないはずである(「不利にならない」という程度であろう。)。

 法律事務所への就職もあくまで「民間」の「就職活動」である以上,巷で言われる「就職活動において大事なこと」と同様,一定の社会常識やら,コミュニケーション能力やらを身に着け,「人に好かれること」が何より大切なはずである。

 申し訳ないが,若くて高学歴であるのに就職活動に苦労していた人たちは往々にして「空気が読めない」人間であったと私は思っている。